皆様の会社では、社員教育やリ・スキリングについてどのような取り組みをしているでしょうか?2025年4月から雇用保険法が改正されることで、給付の適用拡大や育児休業給付の給付率の見直し、教育訓練やリ・スキリング支援など「社員への投資」が強化されることになりました。
[1] 雇用保険料率を0.1%引き下げへ
雇用保険料は、失業等給付と育児休業給付そして雇用保険二事業(雇用調整助成金など)に係るものがあります。
雇用保険料率は毎年度見直しが行われており、今回は、失業等給付の料率が労働者、事業主負担ともに0.05%ずつ引き下げられます。雇用保険料率が下がるのは2017年度以来、8年ぶりとなります。新型コロナウイルス流行により上記の積立金が減少したものの、雇用環境が改善傾向にあり雇用保険料を引き下げても積立金に影響がないことを背景に今回、引き下げが行われます。
雇用保険料は労使で負担しており、雇用保険のうち、育児休業の際に用いる「育児休業給付」と、雇用調整助成金などにあてる「二事業」の料率は据え置きとなります。
令和7年度4月1日以降の雇用保険料率は、以下の通りとなります。
4月の給与計算の際には、新料率が適用となりますので、ご注意ください。
[2]雇用保険料は、未来への投資
人口減少によりDXやAI化が促進される中で、社員の継続的な成長のために、一人ひとりが新たなスキルや知識を身につけていくことが今後増々、重要となってきています。
このリ・スキリングの普及のためには、「会社と従業員の協働」により、誰でも、いつでも、希望に応じて主体的に学び直すことができる会社作りをしていくことが必要となります。
[3] 在職者も離職者も全世代が対象の支援策
政府の指針では、リ・スキリングに関する取り組みについて次のように発表しています。
①離職者向け
求職者の方を対象に、就職に必要な職業スキルや知識を習得するための訓練を無料で実施しています。
②在職者向けの訓練
企業の生産現場が抱える課題解決のため、生産性の向上や業務改善、新たな製品づくりに必要な専門知識や技術を習得するための訓練を実施しています。
[4]社員と企業それぞれに助成金や給付金を支給
雇用保険の被保険者等である社員が、民間の教育訓練機関(専門学校・大学)等で厚生労働大臣の指定する講座を受講・修了した場合に、その費用の一部を給付する「教育訓練給付制度」があります。教育訓練給付制度には、主に3つのコースがあります。
①一般教育訓練給付受講費用の20%(上限10万円)を給付。
<対象例>IT資格、語学、介護資格、TOEIC講座、簿記講座、プログラミングスクール など
②専門実践教育訓練給付受講費用の50%(上限40万円/年)を給付さらに修了後に就職・資格取得すると追加で20%支給(最大70%給付)
<対象例>看護師、保育士、IT・AI関連、建築士 など
③特定一般教育訓練給付(特に雇用の安定につながる資格向け)受講費用の40%(上限20万円)を給付。
<対象例>特定の国家資格や専門的スキル など。
また、企業内の人材育成を行う事業主に対しては、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する「人材開発支援助成金」という制度もあります。
これら人材育成の取り組みは企業の成長にもつながりますので、人材育成への投資についてご検討されてはいかがでしょうか。
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