中小企業は事業を進めるうえで、金融機関からの借入が不可欠です。金融機関の進めるがままに毎回融資を受けていると、借入の本数が増え、毎月の返済額が増えて、資金繰りが返済で苦しくなるということはよくあるかと思います。今回は毎月の資金繰りを楽にする「融資の借り換え」について説明させていただきます。
【融資の借り換えとは】
融資の借り換えとは、言葉通り既存の借入を新規の借入で借り換えることです。借り換えは一般的に、折り返しと一本化の2パターンがございます。
折り返しは、毎月の返済によって借入残高が減少した既存の融資を、また同じ金額などで借り換えをして、既存の融資を返済することです。これにより毎月の返済金額は変わらず、新規融資と既存融資の差引分の金額を手元に残すことができます。
一方で一本化は、複数の既存の融資をまとめて新規の融資で借り換えを行うことです。これにより複数の借入の返済が一本になるので、毎月の返済金額が少なくなり資金繰りが楽になるうえに、既存の融資以上の金額で借り換えを行えば、手元に差引分の金額を残すこともできます。
【融資の借り換えのメリット】
これはズバリ、「毎月の融資の返済額を変えず、もしくは減らして、手元の資金を増やすこと」になります。
借り換え以外の方法で毎月の返済額を軽減しようとすると、「リスケジュール(リスケ)」という形になり、リスケをするとその後の資金調達が厳しくなりますが、借り換えであれば、そのようなことはございません。
また、折り返しであれば金融機関としても取り組みやすいというメリットもございます。もともと融資していた金額での折り返し融資であれば、その融資金額での実績がありますし、今まで返済してきたという実績もありますので、融資が通りやすいという背景がございます。ノルマに追われている金融機関の担当者は、既存の融資の残高が減ってくると、狙いすましたかのように折り返しの提案をしてきますが、これは上記のことが大きな理由になります。
【融資の借り換えの注意点】
いくつか借り換えができないパターンがございます。最近はプロパー融資を借り換えできる保証協会の制度も出てきましたが、原則は保証協会付き融資でプロパー融資を借り換えができません。逆にプロパー融資で保証協会付融資を借り換えすることも、金融機関はやりたがりません。また、一本化においては保証協会付融資とプロパー融資をまとめることはございません。プロパー融資はプロパー融資で、保証協会付は保証協会付でまとめるのが原則です。ちなみに保証協会付き融資の中でも借り換えができないものもございますので、借り換えを希望する場合は金融機関担当者に相談することをお勧めします。
もう一点、最大の注意点が金融機関をまたいでの借り換えです。こちらは借り換えをされる側の金融機関にとって、最大の屈辱とも言われており、その金融機関の担当者や支店の評価が落ちてしまいますので、その金融機関から当分の間融資は受けられなくなります。基本的に他行をまたいでの借り換えは、借り換えされる側の金融機関との取引を切る覚悟があるとき以外は、しないようにしましょう。
【最後に】
年商規模の拡大や金融機関とのお付き合いの中で、結果として借入の本数が増えて、毎月の資金繰りを圧迫するということはよく聞く話です。まずは自社の借入状態を把握するためにも返済予定表を作成し、毎月の返済額や既存融資の残高等を確認することをお勧めいたします。
融資によって手元の預金を増やしたいけど、毎月の返済額を増やしたくないと思う方は多いと思いますので、ぜひ借り換えを活用してください。
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